自分が好きすぎるオトコ
外見に何らかのキャラクターを「装う」のがファッションですが、主張しすぎて近寄りがたい人がいるのも現実ですよね。
服のコンサルタント森井良行と、エレカジ認定スタイリストの河野恵が、女子目線で男性のどんな姿が「痛い」のか、そして「痛い」と言われないための着こなしについて語ります。
今回のテーマ:自分に酔ってる
自分が好きすぎるのも・・・
8月頃のことです。
細身の色黒の人がティアドロップ型のサングラスに真っ白なランニングシャツ、真っ白なスキニーデニムを履いていました。
背も高いし、遠くからでもとても目立っていましたが、注目を浴びているそんな自分に酔っているのか、すごく肩を揺らしながら歩いていて自信がある雰囲気がプンプンしていました。
もちろん他人ですし、何か言う立場でもないのですが、ただの笑い者という雰囲気だし、誰もカッコイイなんて思ってないのに、この人痛いなぁ・・・と感じました。
(N.Iさん 女性 24歳)
illustration by みやもとゆうこ
どこが「痛い」のか
河野:以前、全身が黒ずくめで怖いって話がありましたが、今度は白い人ですか。
編集:ですね。
森井:かなりイケイケな感じの人でしょうね。身体も絞って頑張ってるんでしょう。日焼けサロンとか通ってるのかも知れませんし。
河野:これみよがしなオーラが痛いんですよね・・。「オレ、かっこいいだろう?」って全身に大きく書いてあるみたいな。年齢はわかりませんが、大学生くらいならまだそういう意気がりもアリかも知れません。25歳以上だとまあNGですよね。
森井:服装に多少のナルシシズムは必要なんですよ。自信につながりますし。若干は自分に酔うのも悪くはないです。
編集:たしかにこの方、注目されることには成功してますよね。
森井:そうなんです。その、見た目に気を遣えるという意識の高さはいいと思うんです。埋もれてしまうよりは。ですが、その次のコミュニケーションが難しいでしょう。その場にそぐわないくらいイケイケにしすぎて、周囲にいる人はツッコんでいいのかどうかわからない。
たぶん何かの映画に出てくるキャラクターとか、舞台やイベント、ファッション誌で見た服とかをそのままコピーしちゃったんじゃないですかね。俳優さんが舞台で着るような服ならそれは注目されますよ。でも、やることなすこと全部が演技に見えてしまって、日常生活には支障が出るでしょうね。
エレカジ流の解決策
森井:ファッションの難しさって、「自分の姿を客観的に見ることができない」ってことなんですよね。みなさん自分で鏡を見てチェックしてから家を出てると思いますが、家で鏡を見る距離って近すぎて、どうしてもうぬぼれというか、自己愛の視点で見ちゃうんです。
エレカジの買い物同行では、お店の姿見から数メートル離れて自分を見ていただくことが多いです。試着室も、中の鏡で自分を見る距離が近すぎるので、あえてその服を着たまま試着室を出て、数メートル離れてから自分を見ていただく。そうすると、鏡の中にいる自分を多少は客観視できる。
そして、できればそういう自分を横から、後ろから、斜めから、信用できる第三者にチェックしてもらうといいです。全体の印象とか、サイズ感とかシワの出方とかは自分じゃなかなかわからないですからね。
2022年アップデート
上の記事では、全身真っ白で自分に酔ってる男性の話が出てきましたが、「真っ白」がいけないという話でもありません。
たしかに白系だけでのコーディネートは上級者向けなんですが、不可能ではないです。
例えば写真の上半身のTシャツとカーディガンのように、同じ白でも、クリームっぽい白や、透き通るような白など、いろんな白がありますし、布の質感によって印象も変わります。白系の中でも、素材感や微妙な色の違いを組み合わせることで成立させることができます。
ただ、フォーマル寄りにするほど、白ばかりのコーディネートは結婚式の新郎になっていきます。やるならカジュアルの世界の中で試すようにしましょう。
白中心のスタイリングで使えるアイテム・いいラインの着こなしを知りたい方は、ぜひエレカジの買い物同行にお越しください。(買い物同行ってなに?というかたは「はじめての方へ」をご覧ください)